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理研外研究員(客員主管研究員):劉浩 ダウンロードへ 論文リスト>>

研究の概要

循環系における計算バイオメカ二クスの実用化に向けて
Towards Utilization of Computational Biomechanics in Circulatory System

1. 研究目標・計画
 人体循環器系循環機能への総合的理解とその臨床診断や手術予測への応用を目指し、患者個別の血管系の解剖学的及び生理学的情報に基づいた計算力学システムを研究・開発することによって、循環器系の統合的血行力学シミュレータのプラットフォームを提供することを最大な目標とする。
本研究目標の実施にあたり、次のようなテーマ及びサブテーマを設けた。

テーマ1) 医用画像処理と血管モデリング:医用画像により血管抽出、再構築及び計算モデル生成といった工程を効率よく実現させる手法やインタフェスを研究・開発する。
テーマ2) 計算プログラム開発:患者個別リアリスティックな幾何学的モデルと生理学的モデルを用いた血行力学シミュレータを研究・開発する。
テーマ3) 臨床問題への応用:心臓血管系の代表的な臓器(心臓)や大血管(大動脈)、頚動脈や腎動脈や脳動脈等のような病変多発動脈について

1)と2)で開発された計算システムによるシミュレーションを行い、それらの妥当性を検証すると同時に、動脈硬化症や動脈瘤の発生機構の解明や手術予測等の臨床応用問題への可能性と実用性を検討する。

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2.研究内容の概要
1)血管モデリング

 高解像度のMRIやCT画像から医療現場普及率の高いX線や超音波画像に至るまで、画像デジタイジングやROI領域抽出、血管再構築や計算格子生成等の工程をルーチン化することができた。
2)マルチスケール血行力学モデリング
 心臓血管系のグローバルな循環機能とローカルな血流動態を同時に評価できる、マルチスケール力学モデリング手法を開発した.本手法は, 1次元血管モデルに基づいた循環器系ネットワークモデリング、イメージベースト3次元実形状血管モデリングおよびずり応力・内皮細胞挙動モデリングからなっており、心臓血管系シミュレータのプラットフォームを提供すると同時に, 全身の循環機能への総合的理解が可能となる.今後、循環器系全体の挙動を考慮した臨床診断や手術予測の医療と, 生理学的機能を含む体循環機能への影響を予測できる新薬の開発とへの応用が期待される。
3)臨床応用問題
 ヒト左心室機能の評価 超音波画像を用いた、左心室の健常心と病変心のプロトタイプ計算力学モデルを1例ずつ作成し、各種生理学的条件下での心機能への評価が可能となった。
 大動脈内渦流れと瘤発生機構の解明
 X線やCT画像を用いて血管ダイナミクスを考慮した大動脈の計算力学モデルを構築することができるようになり、血管系の形態や血管の3次元形状、血管ダイナミクスや流入・流出条件、ずり応力と内皮細胞の相互左右などを総合的に評価することが可能となった。大動脈瘤などの機構解明に向けての力学的基盤ができた。

頸動脈狭窄手術の予測

 頸動脈分岐部狭窄手術予測用の計算力学モデルを作成し実際患者の手術前と手術後の血流をシミュレーションし実測結果と良好な一致を得ることが確認できた。

腎動脈狭窄高血圧症の解明
 腎動脈分岐部の血流動態と狭窄及び腎臓高血圧症との関連性を調べるために、腎動脈分岐部の計算力学モデルを作成し、シミュレーションを行った。今後in vitro実験やin vivo計測と比較して、分岐部狭窄発生の機構を解明する。

脳底動脈系血流動態と瘤発生機構の解明
脳底動脈のwillisリング内のローカルな血流循環機能を、MRI画像ベーストのリアリスティック計算力学モデルによって、評価することができるようになった。

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