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協力研究員(理研所属):覺正 信徳 ダウンロードへ 論文リスト>>

研究の概要

人眼球の高精度3次元形状の抽出

1.方法
 理化学研究所の3次元内部構造顕微鏡(以下3D-ism)(→横田秀夫のページ)で人の眼球を凍結包埋で10μm単位で切削を施し、ハイビジョンカメラを使用して各切削断面を25μmの分解能で撮影した(→中村佐紀子のページ)。生体内の切削断面より得られたフルカラーイメージデータの連続断面像より、前後の断面と解剖学的知識を参照にしながら眼球各組織(眼球全体、強膜、角膜、脈絡膜+網膜+毛様体+虹彩、水晶体、前房+硝子体、視神経)の領域抽出を行った(図1)
。領域抽出から得られた各組織のイメージデータをボリュームデータに変換し、切削断面と平行な軸の連続断面像を作成して、その軸の前後断面を観察しながら不具合がある場合修正を試みた。構築された各組織のボリュームデータをボリュームレンダリング:レイキャスティング法(Voxel Viewer, Voxel Viewer2:東芝機械(株))を使用して可視化を行い、観察を行った。

図1
図1
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2.結果

図2 図3 図4
図2 図3 図4

 眼球立体像を任意に角膜の頂点から視神経末端の中心部を通る切断面像(以下断面像)を観察することで各組織を観察することができた(図2)。強膜の正面立体像(図3)より視神経の位置を判断することができ、横にずれていることから右目であることが判断できた。脈絡膜+網膜+毛様体+虹彩の立体像の断面図(図4)より内側の網膜の構造を観察することができ、これにより網膜の神経組織の終縁部である鋸状縁を確認することができた。以上のように他にも細かい形状について確認することができた。

3.まとめ
3D-ismより得られた高精細な人眼球の連続断面像より眼球全体、強膜、角膜、脈絡膜+網膜+毛様体、水晶体、前房+硝子体、視神経のボリュームデータを構築することができ立体的に観察することができた。同一の画像から各組織の領域抽出を行ったため、いずれの組織も座標軸が全て同じである。このことから各組織の配置、大きさ、構造などを比較することが可能となる。また内部の情報を持つため、実際には切断していない断面を得ることができ、各組織を観察することができた。各組織の領域は組織同士が隣接部で接した形状で抽出を行っているため、すべての組織は重なることなく接触した形状を持つことになる。構築した各組織のボリュームデータに疑似カラーを添付することにより、各組織の位置データが明瞭に判別することができるようになった(→平田忍のページへ)。
このことにより、作成された各組織のボリュームデータを用いてシミュレーションプログラムのための形状モデルを形成し、FEMメッシュモデルの構築を行うことができるようになった(図5)。

図5 Image and Mesh:(a) Image,(b)Mesh Model
図5 Image and Mesh
(a) Image,(b)Mesh Model

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