生体力学シミュレーション研究プロジェクト サイトマップお問い合わせトップページ
プロジェクト概要研究体制・メンバー一覧研究内容成果物ダウンロードリンク

研究体制・メンバー一覧
研究員のページ

器官の損傷・治療シミュレーションチーム メンバー一覧のページへもどる
協力研究員(理研所属):横田 秀夫 ダウンロードへ 論文リスト>>

研究の概要

3次元内部構造顕微鏡の開発

 人体の臓器の形状収集を目的に、専用の3次元内部構造顕微鏡の開発を行った。
開発には細胞レベルのミクロの構造観察のためのミクロ観察システム、比較的大きな臓器を観察するマクロ観察システムの2台の装置を開発した。システムの基本構成については3次元内部構造顕微鏡(http://www.riken.go.jp/lab-www/Comp-Bio/solid/3d-ism/)を参照していただきたい。

マクロ観察装置
マクロ観察装置では、眼球および心臓と大動脈弓部を観察対象に設定し、眼球の観察分解能25ミクロンを目標にして設計を行った。
観察装置には、高分解能の観察のためにハイビジョンシステムを導入し、切削部は最小10μmの切削を実現した。また、観察対象がヒト由来の試料であることから、感染性の危険がある。そのために、観察に当たっては、感染性試料と見なして操作を行う必要がある。そこで、装置の開発に当たっては殺菌のための消毒剤の使用、紫外線の使用に耐えられる構造とし、装置外側に隔離用のビニールチャンバーとHEPAフィルターを設置し、その外部から遠隔操作することにより切削した試料からの粉塵を遮断して観察ができるようにした。
装置仕様を下記に示す。
この装置を用いて、ヒト眼球を観察してその形状情報を収集した。(→中村佐紀子のページ
その結果、25ミクロンの分解能で眼球をディジタイジングすることができた。
撮影画像を基に眼球を構成する各組織を抽出して眼球の形状モデルを構築した。(→覺正信徳のページ

ミクロ観察装置
ミクロ観察装置はより微細な対象を観察することを目指して開発を行った。
観察装置として、白色光の偏射照明を用いた観察と落射蛍光観察に加えて共焦点観察を可能とするために共焦点レーザー顕微鏡を組み込み、それぞれの観察を同時または切り替えて行えるように光学系を新規に設計した。共焦点観察には、ニポウディスクを用いたCSU10(YOKOKAWA)を用いて、488,568,633nmのレーザーとカメラ前部にフィルターホイールを設置した。また、微弱光に対応するためにイメージインテンシファイアーを装備したICCDカメラ(ICCD-300/DFR:浜松ホトニクス)を採用した。
観察に用いる対物レンズとして2〜80倍のレンズを用いて、最小分解能0.2ミクロンの観察を実現した。さらに、試料切削部を微細な送り、切削を可能とするために新規に設計製作を行い、最小厚さ0.5μmの切削を実現した。

生体試料微小引っ張り試験装置の開発
眼球の有限要素解析に不可欠な力学的特性の測定を目指して、引っ張り試験システムを開発した。
眼球は球形の層状の組織から構成されているために、大きな試験片ではその曲率が問題となる。そのため、試験片は小さくせざるを得ず、全長が数ミリメートルの大きさの試料を対象とした力学的な特性の測定が必要である。
この目的を達成するために、観察対象を任意の形状に切り出す試料切り出し装置を開発した。
生体軟組織を対象とした引っ張り試験において、試験片をダンベル型に切り出すことが重要である。そこで、網膜を自由形状にしかも熱の影響を受けずに切断するエキシマレーザーを用いた切断装置を構築した(→論文リスト)。また、比較的厚さのある組織ではレーザによる切断に時間がかかることから、2重のリング状ナイフによる打ち抜き装置を開発し、リング状に試料を切り出して試験に用いた(→論文リスト

生きた状態の軟組織の測定には、液中での測定が不可欠である。そこで、ミリメートルオーダーの試料を対象とする横型の引っ張り試験装置を開発した。液中に置いて、2つのピンに試料を引っかけ、片方のピンに力を検知するロードセルを配置し、もう一方のピンを移動させて、引っ張り試験を行った。
ピンの移動量はフィードバック制御され、定速で移動した。また、その過程を試料情報に設置したビデオカメラにより記録し、移動量と力の関係を測定した。
これまでに、角膜、強膜、脈絡膜、水晶体嚢の力学的特性を明らかにした。(→須長純子のページ


このページのトップへ
Copyright (c) RIKEN, Japan. All rights reserved.