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協力研究員(理研所属):中村 佐紀子 ダウンロードへ 論文リスト>>

研究の概要

3次元内部構造顕微鏡(3D-ISM)の開発および生体試料のディジタイジング

 3次元内部構造顕微鏡は樋口らが提案した手法(→論文リスト(1) であり破壊検査により試料内部の構造を明らかにする方法であり、立体構造を高精度かつ迅速に観察できるシステムである。観察対象物を切断し、残った断面画像の観察を繰り返し、ミクロン単位で連続画像を得ることが可能な装置である。(→横田秀夫のページ

1.マクロ観察装置:眼球のディジタイジング
眼球の網膜剥離のシミュレーションモデル作成(→孫智剛のページ)に於いてその基となる生体の形状データの取得にこの3D-ISMを用いミクロン単位で人眼球の3300枚の連続断面画像を得た。図1に得られた断面画像のうちの15枚を示す。
画像の分解能は切断の厚さ(Z方向)10μm、撮影画像(X・Y方向)の分解能25μm、分解能25μmのボリュームデータを得ることができた。この解像度は厚さ100μmの網膜のディジタイジングには十分なものであり、得られた画像から眼球全体、水晶体、角膜等の立体画像や任意断面画像を構築することに成功した。(→覺正信徳のページ)以上のことにより本装置は眼球の高精細ディジタイジングに適していると考える。
また得られたデータを元に形状モデルを作成し、6面体FEMメッシュモデルを構築した。
→平田忍のページ

図1
図1

2.ミニブタを用いた血管系のディジタイジング

図2 図3 図4
図2 図3 図4

 ミニブタの心臓、大動脈弓と肺部の形状データを元にコンピュータシミュレーションモデルの構築を目指し実際の動物からの実形状を計測した。血液を蛍光試薬入りゼラチンに置換し、殺処分後、MRI(ExcelART:MRT-2000/P2,東芝メディカル)で撮影を行い得られた画像より独自の抽出法を用いて
→論文リスト(21)血管領域の抽出(図2)を行った。
MIP画像(図3)が観察者の視点に基づいた全ボリュームデータの透写に過ぎないのに対し、得られた結果を元にレイキャスティング法により構築した立体画像(図4)は心臓およびその周辺部の血管が示されその3次元構造も鮮明に表現されている。
このように関心領域の心臓およびその周辺部の連続性のある血管のボリュームデータを得ることができた。

3.ミクロ観察装置:小動物を用いた毛細血管の観察法の検討
 高分解能観察の為に観察部に共焦点レーザー顕微鏡(LSM)を組み込んだ装置の開発を行った。共焦点光学系はリアルタイムで画像取得が可能なCSU-10(YOKOGAWA)を用い、微弱光観察のため撮像はICCDカメラ(ICCD-300/DF:浜松ホトニクス)を用いることとした。(→横田秀夫のページ
 生体試料の微細部位の観察を目的としてマウス腎臓の微細血管に血管鋳型剤を注入し、微細立体構造の観察を行った。共焦点レーザー顕微鏡を用いることにより、得られた画像では糸球体とその周辺の血管を鮮明に確認できた。(図5)分解能はXY:0.7μm、Z:2μmと高精度であり、断面は500枚、観察時間は5分と非常に高速であった。また、ミニブタの血管抽出でも用いた手法により微細血管系の抽出(図6)、を行いレイキャスティング法により立体構造の可視化し、血管の3次元的なつながりを見ることができ、任意の断面での観察が可能であった。(図7,8)以上のことより、LSMを組み込んだ3D-ISMにより生体内の微細構造を3次元的に捉えることが可能であった。
  本法はLSMの深さ方向の観察限界の欠点を補うことが可能であり、また、従来の鋳型注入-SEM観察法に比較しても試料内部の構造を明らかにできる利点があった。また、微細血管の抽出を行うことによりシミュレーションに応用可能なボリュームデータを得ることができた。(→論文リスト(30)
図5
図5
図6
図6
図7 図8
図7 図8

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