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理研外研究員(JRA):竹本 智子 ダウンロードへ 論文リスト>>

研究の概要

背景と目的

 三次元内部構造顕微鏡(→横田秀夫のページへ)は、生体のフルカラー連続断面画像の入手を可能にした。
これにより、色情報を持った生体モデルの構築が期待される。そのためには画像認識のために各組織領域の分割をしなくてはならない。しかし生体画像での領域分割の従来研究は、そのほとんどが白黒濃淡画像に対するものであり、生体フルカラー画像での領域分割には適さない。
現在は人の手作業による領域分割が行われているが(→覺正信徳のページへ)、莫大なデータ量を考慮すると自動化が強く望まれている。
そこで本研究では生体カラー画像に適した領域分割法の開発を行っている。

方針

 領域分割法には原画像中のエッジを用いる手法や領域ベースの手法、または統計的な手法がある。エッジを用いた手法では求められるエッジが明確な閉曲線となるとは限らない。そのため、異なる組織が密接して存在する生体組織では特に識別が難しい。
そこで本研究では領域ベースの抽出法と統計的な手法を組み合わせた領域分割アルゴリズムの開発を行っている。

提案

 本研究では領域拡張法(region growing)を元にした手法の開発を行っている。
領域拡張法は、注目している小領域とそれに隣接する小領域(あるいは画素)が互いに同じ特徴を持つとき、一つの領域に統合する処理を順次実行していくことで領域分割を行う手法である。
本研究ではこのとき用いる特徴量に、画素の持つ色情報をHSV表色系で表現した値を用いている。これは、生体組織の色をHSV表色系で表現したとき、同一組織内に不変量性が見出されることが多いことを利用したものである。また、同じ特徴を持つかを判別する部分には線形判別分析を用いている。

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実験結果

 実験には三次元内部構造顕微鏡から入手したマウス断面画像やヒト眼球の断面画像を用いた。
マウス断面画像からは胃領域の領域分割を行い、連続100枚の断面画像からの領域分割に成功した(図1)。
 また、ヒト眼球の断面画像からは水晶体領域の領域分割を行った(図2)。
 この結果は解剖学的知識を持つ人の手作業による領域分割結果(→覺正信徳のページへ)と比較し、全断面を通して90%以上の抽出精度を出すことに成功している(→論文リスト(6))。
ヒト眼球では手作業で作成した領域分割の教師を20断面に1回与えているが、全断面を手作業で行うときと比較するとその効果は大きい。
以上の結果はボリュームレンダリングにより三次元可視化した(図3,4)。
図1 マウスの胃の領域分割結果 図2 ヒト眼球からの水晶体領域分割結果
図1 マウスの胃の領域分割結果(連続100断面のうちの一部抜粋) 図2 ヒト眼球からの水晶体領域分割結果(連続70断面のうちの一部抜粋)

図3 マウスの胃の三次元モデル 図4 水晶体の三次元モデル
図3 マウスの胃の三次元モデル 図4 水晶体の三次元モデル

今後の方針
 生体カラー画像における領域分割では、その対象が変わると手法の変更も必要である。特に、アルゴリズム中の判別部や使用する特徴量の選別は必要不可欠である。そこで三次元内部構造顕微鏡から得られた様々な組織に対する最適な手法をデータベース化する。
本研究では今後、それらを用いて生体カラー画像での領域分割に関するエキスパートシステムの構築を目指す。

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