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循環器系シミュレーションチーム器官の損傷・治療シミュレーションチーム運動シミュレーションチーム
研究内容
器官の損傷・治療シミュレーションチーム
軟組織のシミュレーション 硬組織のシミュレーション>>
 軟組織のシミュレーショングループでは、眼球の網膜剥離に対する強膜内陥術の手術シミュレータの開発をおこなっている。
これまでの眼球を対象とした力学シミュレーションとしては、エアバックの展開時の損傷を解析するための衝突解析、視力矯正を目的とした角膜切除手術の解析が行われている。しかしこれらは、その対象が衝突解析や、角膜のみの解析を対象としており、眼球全体を詳細に定量的に解析することは行われていない。我々は、網膜剥離に対する強膜内陥時の力学挙動の解析を目的として研究を行っている。強膜内陥術は、眼球の外側にスポンジ状のパッドを取り付けたり、リング状のバンドで締め付けることにより眼球を変形させて網膜剥離を治療する方法であり、その縫合部位や締め付け量によりその予後が左右される。これまで、その変形量やパッドの選定は医師の経験と勘に頼らざるを得なかった。この過程は準静的な変形であることから、有限要素解析により、シリコンパッドやシリコンバンドの形状の選定、結紮量を術前にシミュレーションすることが可能になると考えている。
 そこで我々は下図
に示す体制で研究を進めた。ここでは、その概要と全体の流れを説明する。
詳細については、リンク先のページをご覧いただきたい。
●基本眼球モデルの構築 -------------------------------------------------------------
右図に示すように、我々のチームでは、眼球の網膜剥離シミュレーションの研究を進めるにあたり、まず基本眼球モデルの構築を行い、次にこれを用いて個人個人のモデルを作り臨床応用を目指すという様に2つのステージに分けて研究を進めた。
今期のプロジェクトにおいては基本眼球モデルの構築を目指して開発を行った。
ここでは、精密な眼球のシミュレーションのための基本眼球モデルの構築について述べる。

軟組織のシミュレーション計画フロー

1.眼球形状のディジタイジング
シミュレーションモデルの形状撮影装置として3次元内部構造顕微鏡新たに開発し、眼球の撮影を行った。
装置等の詳細についてはこちら(→横田秀夫のページ)をご覧いただきたい。また、米国アイバンクより人の眼球を入手して観察を行った。撮影条件等はこちら(→中村佐紀子のページ)をごらんいただきたい。
本研究により、眼球の25μm分解能の詳細な構造を取得することが可能となった。なお、本実験は東邦大学医学部、および理化学研究所倫理委員会の承認の元に行った。



2.セグメンテーション
撮影した画像はすべての組織を含むボクセルデータであり、組織ごとに区分けしたデータではない。そこで、画像処理による自動抽出法の開発を行った。
自動抽出法についてはこちら(→竹本智子のページ)をごらんいただきたい。また、解剖学的知識をもつオペレータによるマニュアル操作による1ボクセル毎の抽出作業を行い、眼球を構成する強膜、角膜、水晶体、視神経、網膜+脈絡膜+虹彩のパーツに分別したボクセルモデルを構築した。方法については(→覺正信徳のページ)をご覧いただきたい。



3.力学的特性の測定
眼球の各組織を引っ張り試験し、その応力−ひずみ関係を測定した。また、測定装置についても開発を行った。
詳細果についてはこちら(→須長純子のページ)をご覧いただきたい。


4.メッシュ生成
形状情報と物性値を元に有限要素解析為のメッシュをマップドメッシュ法により作成した。
作成法につてはこちら(→平田忍のページ)をご覧いただきたい。



5.3次元超弾性FEMプログラム
先に述べたように、眼球は力を受けると非線形かつ大変形する。
また、眼球内部は硝子体など水分があるために、個体−液体の練成解析をする必要がある。
そこで、非圧縮性超弾性体と静止液体との連成解析を可能とする3次元解析プログラムを開発した。
詳細についてはこちら(→孫智剛のページ)をご覧いただきたい。
●臨床応用への対応 ----------------------------------------------------------------
 これまでの5年間により基本シミュレーションモデルを基に、臨床応用が可能なシミュレータを開発した。
今後、超音波、MRI等の非破壊の測定法で求めた個人のパラメータにより合わせて基本眼球モデルを変形させて、解析モデルとすることを考えている。
この方法により、患者ごとにメッシュ生成をする必要が無くなり、解析モデルの構築を短時間に行うことが可能になる。また、代表的な疾患のデータベースを構築して、それをモデルに臨床での判断基準にすることを想定している。
●おわりに ----------------------------------------------------------------------
これまでに述べたように、眼球の網膜剥離術の術前シミュレーションに耐えうるシミュレータの開発を目指して研究を進めてきた。本研究プロジェクトでは、もう一つ先の目標として、眼球のシミュレータ構築法を基に、眼球以外の組織のシミュレーションを実現する方法を確立するモデルケースにしたいと考えている。

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